笹団子Story ~店主の記憶・笹団子の思い出~

幼かった頃、田植えが終わって田んぼの仕事がひとだんらくしたころ、村の家々で母親と祖母、家族総出で笹団子を作っていたのを思い出します。

それも100ヶ単位で、200も300も、もっと作ったかもしれません。
できた笹団子を廊下や外に竹竿を差し渡して笹だんごをぶらさげてた光景が目に浮かんできます・・。

子供達ができあがった笹団子を親戚や近隣の家に配るのが仕事で、行った先々でお駄賃やお菓子をもらい子供心にこの時期になるとワクワクしたことを思い出します。

今日、昔の面影は寂しいことに少なくなりました。それは近代化が進む時代の流れであり、今のご時世でございます。しかしながら今も残る古き良き時代の文化・食・暮らし。残していこうとする人がたくさんいます。

失われていくものもありますが、いかに良いものを残していくか。それが今生きる私たちの役目なのかもしれません。

笹だんごもそういった意味では、この守っていくものに入るのではないでしょうか。笹団子の名産品化からは新潟に生きる人びとの暮らしの変化と諸相を見ることができます。

このような民俗的背景は、地域に暮らす人びとの目線に立って、そこ存在する様々な思いや葛藤ともしっかり向き合っていかないことには、民俗そのものが包有する本来の歴史性や独自性を見出すことが出来ない項目だと思いました。

これからもいち笹だんごに携わる人間として精進していく次第です。

この笹団子のいい笹の匂い。ヨモギの入った餅の何ともいえない香りとコシ。そうしてあんこの甘さ。この笹団子を食べると昔日のあの日があの光景が甦ってくると思います。笹団子には懐かしい思い出がいっぱい詰まっているのではないでしょうか。
~ 店主敬白 ~